コラム

個人よりお得?不動産投資で法人化する方法とメリットを解説


不動産投資の規模が大きくなり、収入が増えたものの、所得税や住民税が増加し資産を効率よく増やせないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。

節税しながら資産を効率的に増やす方法の一つに「法人化」があります。不動産投資の収入が一定額を超える場合、法人化により節税効果が期待できるケースがあります。この記事では、個人で不動産投資を行っている方に向けて、法人化のメリットや具体的な方法を解説します。

不動産投資で法人化するメリットとは

まず、不動産投資を法人化することによる主なメリットを3つ解説します。

1. 節税しやすい

法人化をすることで、税金面で大きなメリットを得られる理由は以下の2点です。

・法人税率が低い
個人で不動産投資を行う場合、所得税と住民税を合わせて最大55%の税率がかかることがあります。一方、法人税率は約20~30%と比較的低く、税負担を軽減することができます。

・経費の範囲が広い
法人の方が経費として認められる範囲が広いため、経費を多く計上できます。これにより利益が抑えられ、結果的に納税額を減らすことが可能です。

2. 融資を受けやすい

法人化をすると、個人に比べて融資を受けやすくなります。個人の場合、年齢や寿命の制限があるため融資期間や金額に制約が生じますが、法人の場合はこうした制約が少なくなります。法人は信用力が高いと見なされることが多く、融資額や条件が優遇される傾向があります。

3. 繰越損失の期間が長い

不動産経営で赤字が出た場合、法人の方が損失を繰り越せる期間が長くなります。個人の場合、青色申告であれば損失の繰越期間は3年間ですが、法人の場合は最大10年間繰り越すことが可能です。この仕組みにより、赤字を次年度以降の利益と相殺することで節税効果を得られます。

不動産投資で法人化する方法

ここからは、個人で不動産投資をしている方が法人化を進める際の具体的な手順を解説します。

1. 会社設立のための準備

会社設立には以下の基本事項を決める必要があります。

・商号(会社名)
・本店所在地
・役員
・事業目的
・資本金

また、法人印・銀行印・角印の作成も必要です。特に法人印と銀行印は、登記申請や取引、口座開設に欠かせません。印鑑の作成には数日~2週間程度かかることがあるため、早めに準備しましょう。

2. 定款作成・認証

定款は、会社の基本的なルールを定めた書類で、設立時に必ず用意します。定款には記載必須事項が多く、作成が難しいと感じた場合は司法書士に依頼するのも一つの方法です。定款は公証役場で認証を受ける必要があります。

3. 資本金の払い込み

資本金を発起人名義の口座に振り込み、振込証明書を作成します。この証明書は登記申請時に必要です。資本金は設立後に法人口座へ移行されるため、新たに個人口座を開設する必要はありません。

4. 登記書類作成・申請

登記申請に必要な書類を準備し、法務局で手続きを行います。必要書類は以下の通りです。

・定款
・登記申請書
・印鑑届出書
・取締役の印鑑証明書
・資本金の振込証明書
・登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙

書類に不備がなければ、申請から約1~2週間で登記が完了します。

5. 税務署へ開業届を提出

登記が完了したら、税務署に開業届を提出します。開業届には登記事項証明書(登記簿謄本)が必要で、法務局で取得可能です。税務手続きには期限があるため、スケジュールを立てて早めに対応しましょう。

まとめ

不動産投資における法人化のメリットと方法について解説しました。不動産投資の規模が拡大すると、法人化による節税や融資の受けやすさなど多くの利点が得られます。ただし、手続きが煩雑でコストがかかるため、メリットを最大化できるかどうかを慎重に検討することが大切です。

収支の状況を丁寧に確認しながら、不動産投資の最適なタイミングで法人化を検討してみてはいかがでしょうか。