コラム
海外不動産投資初心者のためのメリットとデメリット
目次
メリット
海外不動産投資を扱う投資会社が徐々に増えてきています。それに伴い、日本国内ではなく海外不動産投資に興味を持つ方も増えてきました。最近では海外不動産投資のセミナーも頻繁に開催されています。
高利回りの期待
そんな海外不動産投資のメリットの一つは、高利回りが期待できる点です。不動産投資の収益には主に、家賃収入によるインカムゲインと、不動産価値の上昇による売買差益(キャピタルゲイン)の2種類があります。どちらも、人口が増加傾向にあり経済成長が上向きの国のほうが収益性は高くなります。
そこで、日本を改めて見てみましょう。少子化問題、高齢化社会、人口減少などを考えると、日本の収益性はやや低いように感じます。それに比べ、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムなどのアジア新興国は高い経済成長を続けています。これらの国では、人口増加、住宅需要の増加、国民所得や物価の上昇により、将来的な家賃高騰が期待できます。
高利回りを期待するには、人口が増加している国やGDPが安定している国を選ぶことがポイントです。物価上昇と高い家賃収入が期待できる国を見極めるためには、世界情勢や各国の経済状況をしっかり把握する必要があります。
高い節税効果
海外不動産投資の2つ目のメリットは、高い節税効果です。これは国内の不動産投資にも共通します。収益から建物の減価償却費、ローンの金利、管理費用や修繕費用、税金などを差し引いた金額が不動産所得となりますが、それらを差し引くと赤字になる場合が多いです。しかし、赤字でも問題ありません。
赤字の場合、他の給与所得と損益通算が可能で、所得税の節税効果が期待できます。不動産所得が赤字になることで所得合計が減り、所得税の負担が軽くなるのです。確定申告をきちんと行えば所得税の還付を受けることも可能で、その結果住民税の節税にもつながります。
さらに、海外不動産投資のメリットとして「通貨分散によるリスク分散」が挙げられます。少子高齢化や経済停滞が懸念される日本では、今後円高が期待できないという声も多く、国内資産だけで財産を保有するのはリスクとなりえます。海外不動産投資により、通貨分散によるリスク分散が可能になるため、リスクを軽減できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
海外不動産投資にはデメリットも存在します。
為替リスク
その一つが為替リスクです。海外不動産の売買は一般的に外貨で行われるため、為替レートの変動に注意しなければなりません。例えば、購入時よりも売却時に円高になっていると、日本円に換金した際に損をしてしまいます。逆に円安であれば、物件自体の価値が下がっていてもキャピタルゲインを得られる可能性があります。
また、国ごとに通貨は異なります。例えば、フィリピンはペソ、マレーシアはリンギット、インドネシアはルピア、ベトナムはドンといった、あまり馴染みのない通貨を使用しています。耳慣れない通貨は外国為替市場での取引が少なく、自ら為替情勢を調べる必要があります。さらに、売却後に現地通貨を円に換金する際、マイナー通貨の場合は一度に換金できない可能性もあり、手数料が高くなることも考えられます。
また、海外不動産投資のために金融機関から融資を受ける際も注意が必要です。国内とは異なり、海外金融機関を利用することになり、融資制限があったり、金利が高額になったりする場合もあります。
情報不足
海外不動産投資では情報不足も大きなデメリットです。日本国内であれば様々な情報が入手できますが、海外では簡単に情報が得られません。そのため、必要な情報を十分に集められず、不動産購入に踏み切れないこともあります。情報不足のまま購入して、現地に行ったら期待していたものがなかった、という事態もありえます。
特に新興国の物件を購入する際は注意が必要です。日本と異なり土地勘がないため、正しい情報の判断が難しく、信頼していた情報が誤っていることもあります。また、各国にはそれぞれ独自の法律や規制、税制が存在します。特に新興国では、予期せぬ法律変更や税制変更が起こる可能性があるため、財産没収のリスクや、不動産所有に関する規制が変わる恐れもあります。
そのため、リスクを軽減するには治安が良く、社会性がしっかりしている国を選ぶことが重要です。
まとめ
海外不動産投資は以前よりも取り組みやすい環境になっています。日本国内の少子高齢化、人口減少、経済の不安定さから、海外へシフトする不動産投資家も増えています。確かに高利回りや節税効果などの魅力がありますが、為替リスクや情報不足といったデメリットも無視できません。
日本国内の不動産投資と比べてリスクが高いことは確かです。海外不動産投資を始める際は、慎重に情報を収集し、リスクをしっかりと理解して進めていくことをおすすめします。