コラム
不動産小口化商品の購入前に注意すべき「優先劣後システム」について
目次
リスクを抑えて不動産投資をしたいと考えている方で、不動産小口化商品の購入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産小口化商品を購入する際には、知っておきたいものとして「優先劣後システム」があります。
今回は優先劣後システムについて解説していきますので、少額での不動産投資に興味のある方はぜひご参考にしてみてください。
不動産小口化商品を購入する際に知っておきたい「優先劣後システム」とは?
通常、不動産投資には多額のお金が必要になりますが、特定の不動産を一口数万円という少額のお金で購入できるよう小口化したものが不動産小口化商品です。
不動産投資はリスクが高いと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産小口化商品を購入する際、投資のリスクを軽減し、安全性を高めることを目的として採用されるシステムが優先劣後システムとなります。
優先劣後システムがどのようなものなのか端的に説明すると、「元本割れによる分配金減少のリスクを軽減する」というものです。
「優先」と「劣後」について
不動産小口化商品の購入者には、優先出資者(優先)と呼ばれる一般投資家(お客様)と、劣後出資者(劣後)と呼ばれる不動産事業者とが存在します。
優先出資者は、劣後出資者よりも優先的に配当を受けられる権利を持ち、元本割れが生じた際でもリスクを少なく安定して配当を受けられる特徴があります。
劣後出資者は、元本割れが生じた際に優先出資者よりも先に配当が減少するものの、予想以上の収益が発生した場合には、優先出資者よりも配当の割合が大きくなるというハイリスク・ハイリターンを狙えることが特徴です。
割合としては、優先出資者が7割前後、劣後出資者が3割前後になることが多く、優先出資者として投資をする不動産投資初心者の方は、劣後出資者の割合が大きければ大きいほどリスクを抑えての不動産投資が可能となります。
ですので不動産小口化商品を購入する場合には、優先出資者と劣後出資者の割合がどの程度なのかを確認するようにしましょう。
不動産小口化商品の購入時に優先劣後システムから得られるメリットとは?
- 元本割れリスクの軽減
- 分配金の安全性の向上
優先劣後システムには上述二つのメリットがありますので、以下、それぞれについて解説していきます。
元本割れリスクの軽減
優先劣後システムは、先述の通り投資家の元本割れリスクを軽減できるメリットがあります。
通常の不動産投資の場合、多額の費用が必要となるうえ、万が一不動産売却時に損失が発生した場合には、一般投資家であるお客様自らが全額の損失を被らなければなりません。
しかし、優先劣後システムを採用した不動産小口化商品の場合は、劣後出資割合分までの売却損失を劣後出資者である事業者が負担するため、元本割れが生じた際のリスク軽減に繋がるのです。
具体例1
- 買値5,000万円のアパートを3,500万円で売却する
- 優先劣後の割合は7:3
優先劣後の割合が7:3で不動産小口化商品を購入する場合、5,000万円のアパートであれば、70%に当たる3,500万円分を優先出資者が、残りの1,500万円分を劣後出資者が購入します。
この場合は、売却時に5,000万円-3,500万円=1,500万円の損失が生じることになりますが、このシステムを用いた場合、劣後出資割合分(1,500万円)までの売却損失は劣後出資者が負担をするため、優先出資者である一般投資家の損失は生じません。
具体例2
- 5,000万円のアパートを3,000万円で売却する
- 優先劣後の割合は7:3
具体例1と同様に、優先劣後の割合が7:3で不動産小口化商品を購入する場合、5,000万円のアパートであれば、70%に当たる3,500万円分を優先出資者が、残りの1,500万円分を劣後出資者が購入します。
この場合は、売却時に5,000万円-3,000万円=2,000万円の損失が生じることになり、劣後出資割合分(1,500万円)までの売却損失は劣後出資者が負担をし、残りの500万円を優先出資者が負担をすることになります。
分配金の安全性の向上
二つ目のメリットは、分配金の安全性を向上させるという点です。
賃貸収入から賃貸費用を差し引いた分配金は、優先出資者へ優先的に分配され、残利益が生じた場合に劣後出資者である事業者に分配されます。
不動産賃貸には空室リスクが伴いますが、仮に空室が生じたとしても、まずは事業者の分配金から減少していくため、優先出資者への分配金への影響が軽減されます。
具体例
- 5,000万円のアパート
- 満室時利回りは7%
- 優先分配り回りは5%
- 実質利回りは6%
- 優先劣後の割合は7:3
満室時の利回りは7%であるものの、運用が上手くいかず実質利回りが6%になってしまった場合を具体例として挙げます。
この場合の家賃収入は5,000万円×6%(300万円)であり、賃貸費用として100万円がかかると想定すると、出資者に割り当てられる分配金の総額は200万円です。
優先分配利回りが5%であることから、総額のうち優先出資者の出資額3,500万円の5%(175万円)が優先出資者の分配金として配当されます。
不動産小口化商品を購入する場合は、優先劣後システムを意識して投資先を選別しよう!
安価に購入できるからと言って、不動産小口化商品が元本割れを引き起こす確率はゼロではありません。
不動産投資初心者の方は、元本割れのリスク軽減や分配金の安全性向上のためにも、不動産小口化商品を購入する際には、優先劣後システムを注意して見るようにしましょう。
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