コラム

不動産投資の利回りとは?収益に大きく影響するその仕組みと注意点


不動産投資を始める際に、利回りについてしっかりと考えたことはありますか?

不動産投資は、金融商品の安全性・収益性・流動性といった3つの視点を加えて考えることで、より効率的な資産運用が可能になります。しかし、利回りの計算方法や目標とすべき数値については、難しいと感じる方も多いでしょう。

今回は、不動産投資における利回りの基本から計算方法、理想的な数値や注意点までを解説します。正確な知識を身につけることで、安定した収益を目指しましょう。

不動産投資における利回りの基本と計算方法

まず、利回りとは投資した資金に対して得られた収益の割合を示す数値のことです。不動産投資以外の金融商品でも用いられる一般的な指標です。不動産投資では、利回りの計算には「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。

表面利回り

表面利回りは、1年間で得られた家賃収入を物件価格で割ったもので、経費などを含めない単純な収益性を示します。

表面利回り = (1年間で得られた家賃収入 ÷ 物件価格) × 100

実質利回り

実質利回りは、家賃収入から管理費や手数料などの経費を差し引いた後の収益を物件価格で割ったもので、より実際の収益性を反映しています。

実質利回り = {(1年間で得られた家賃収入 – 1年間でかかった支出) ÷ 物件価格} × 100

計算例:5000万円の不動産に投資した場合

例えば、5000万円の物件に投資し、家賃が月15万円(年間180万円)、年間支出が30万円の場合の計算は以下の通りです。

・表面利回り
(180万円 ÷ 5000万円) × 100 = 3.6%

・実質利回り
{(180万円 – 30万円) ÷ 5000万円} × 100 = 3.0%

表面利回りと実質利回りで数値が異なることから、実際の投資判断には実質利回りを重視することが重要です。

利回りが高いほど効率的な投資が可能

利回りは高ければ高いほど効率的に運用できます。例えば、200万円を2%と5%の利回りで15年間運用した場合、15年後には次のような違いが生まれます。

・2%で運用:269万円(約1.3倍)
・5%で運用:416万円(約2倍!!)

このように、利回りが高いほど効率的に資産を増やすことができます。

不動産投資で理想的な利回りはどれくらい?

2018年10月の不動産投資家調査によると、東京都内の期待利回りは以下の通りです。

東京都内の期待利回り

・城南地区(港区・品川区・目黒区・大田区)
ワンルーム:4.4%、ファミリー向け:4.4%

・城東地区(墨田区・江東区など)
ワンルーム:4.4%、ファミリー向け:4.7%

東京以外の都市の期待利回り

・札幌:ワンルーム5.5%、ファミリー向け5.7%
・仙台:ワンルーム5.5%、ファミリー向け5.7%
・福岡:ワンルーム5.2%、ファミリー向け5.3%
…など、都市によって期待利回りは異なります。

全国的に見ると、個人で投資する場合は5%程度が理想とされています。ただし、地域や物件の築年数によっても利回りは異なるため、投資を検討する際はこれらの要素も考慮しましょう。

高い利回りには要注意!不動産投資のリスク

利回りが異常に高い場合には注意が必要です。高い利回りには以下のリスクが隠れている可能性があります。

表面的な利回りと実質的な利回りの差

表面上の収益性は高くても、管理費や手数料、空室リスク、退去予定などで実際の収益が低いケースがあります。

・管理費や手数料が高額
・空室になるリスクが高い
・住人の退去予定がある

流動性の低さ

地方の不動産は利回りが高くても、人口減少や次の買い手が見つかりにくいなどのリスクがあります。また、築年数が古くなると家賃が下落する可能性もあり、流動性が低くなることも。

反社会勢力や特定団体が入居している場合や築年数が長い物件も流動性が低い傾向にあります。高い利回りに惑わされず、隠れたリスクを必ず確認しましょう。

まとめ

利回りは、不動産投資の収益性を考える上で非常に重要な指標です。高い利回りの物件に投資することで効率的に収益を上げられる可能性がありますが、隠れたリスクや経費も考慮しなければなりません。実質利回りや流動性、地域特性などをしっかりと調べ、賢く投資を行いましょう。

情報収集とリスクの確認を徹底することで、不動産投資で安定した収益を目指すことが可能です。効率的な運用を心がけ、堅実な資産形成を目指しましょう。