コラム

不動産物件を購入するなら押さえておきたいローンについて

箇条書きにして可否を判断
不動産物件を購入する際、一般的にローンを組むことが多いですが、ローンの種類や特徴を正しく理解しておくことが重要です。不動産は高額な買い物であり、ローンの選択次第で将来の資産運用に大きな影響を与えるため、事前にしっかりと情報を把握しておきましょう。ここでは、代表的なローンである「フルローン」と「オーバーローン」について、メリット・デメリットを含めて解説します。

フルローンについて

フルローンとは、物件の購入資金を全額ローンで借りる方法です。つまり、頭金を用意せずに不動産投資を始められるローンのことを指します。若い世代や初めて不動産投資をする方でも、フルローンを利用すれば手元の資金を残しながら投資を開始することができます。

フルローンのメリット
・自己資金を手元に残せる:購入資金を全額借り入れできるため、手元の資金を残し、不測の事態に備えることができます。これは予想外の修繕費や空室リスクに対応するために有効です。
・レバレッジ効果が高い:自己資金をほとんど使わずに投資を始めることで、小さな資金で大きな資産を得られる可能性が高まります。物件が高い収益を生む場合、自己負担が少ないためリターンが大きくなる可能性があります。

フルローンのデメリット
・返済総額が大きくなる:借入額が多いため、利息も多く支払わなければなりません。結果的に返済総額が高くなり、毎月のローン返済額が負担になることがあります。
・キャッシュフローの圧迫:家賃収入がローンの返済額と同じ、もしくはそれを下回る場合、収益がほとんど残らずキャッシュフローが悪化します。物件選びに失敗すると、収益が赤字になる可能性もあります。
・資産拡大が難しい:フルローンを利用していると、2件目や3件目の物件を購入する際に、銀行の審査が通りにくくなります。特に返済が長引くと新たな融資を受けることが難しくなります。

オーバーローンについて

オーバーローンとは、物件の購入価格を超えた金額を銀行から融資してもらうことを指します。たとえば、物件価格が2,000万円である場合、2,200万円の融資を受けることができるようなケースです。物件を担保にすることで、購入価格以上の借り入れが可能となります。

オーバーローンのメリット
・諸費用をローンで賄える:物件購入に必要な手続き費用や諸経費もローンに組み込めるため、自己資金を用意する必要がありません。印紙代、登記費用、仲介手数料などをカバーできるので、資金の準備に余裕ができます。
・予備資金を確保できる:オーバーローンで多めに融資を受けておくことで、不測の事態に備えた予備資金を確保できます。急な修繕費や空室期間の対応など、収益が途絶えた場合にも安心です。

オーバーローンのデメリット
・返済負担が増える:借入額が多くなる分、利息も高くなり、返済負担が大きくなります。フルローン同様、毎月の返済額が増えるため、キャッシュフローが圧迫されるリスクがあります。
・物件価格の水増しリスク:不動産業者が物件価格を実際よりも高く見積もる「かきあげ」と呼ばれる手法で、銀行に提出する契約書の価格を水増しして融資を受けるケースがあります。これは違法行為であり、発覚すると融資が無効になる可能性がありますので、注意が必要です。

ローンを組む際に注意すべきポイント

1. キャッシュフローのシミュレーション

フルローンやオーバーローンを組む際には、必ずキャッシュフローのシミュレーションを行いましょう。家賃収入からローン返済や管理費、修繕費を差し引いて、利益が残るかどうかを確認することが重要です。

2. 融資審査の厳しさ

フルローンやオーバーローンは借入額が大きいため、銀行の融資審査は厳しくなります。年収、勤続年数、他社からの借り入れ状況などが審査の対象となるため、事前に自分の信用状況を確認しておきましょう。

3. 不動産会社との相談

物件選びやローンの組み方については、信頼できる不動産会社と相談することが大切です。フルローンやオーバーローンのリスクを理解し、物件の将来的な収益性をしっかりと検討した上で判断しましょう。

まとめ

不動産物件を購入する際のローンには「フルローン」と「オーバーローン」があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、投資に伴うリスクを理解して選択することが重要です。特に、返済総額やキャッシュフローのシミュレーションを行い、長期的に無理のない返済計画を立てることが成功への鍵となります。